私は普段はどちらかというと冷え性と感じるくらい、いつも手足が冷たくて寒いなぁと思ってしまう体質です。妊娠前は特にそうで、その冷えのせいでなかなか妊娠に至らないという原因もあり、病院から体の冷えにもよく効く温経湯という漢方薬を処方してもらっていたくらいでした。その漢方が効いたおかげもあり、その後無事に妊娠することができました。妊娠が判明したのが1月の中旬。予定日は9月の下旬頃と告げられました。
初めての妊娠だったので、何もかもが私にとって未知の世界。これからどんどん自分のお腹が大きくなるんだなぁとしみじみ思いながら帰宅したことをよく覚えています。その1週間後からは早くもつわりが始まりました。吐き気とダルさと食の好みの変化に戸惑いましたが、どうやら私のつわりの症状はけっこう軽めの部類だったようです。友人はずっとよだれが止まらなかったとか、もう一人の友人はとにかく吐きまくって最後は胃液と血が出た、とか壮絶な悪阻談義もありました。そんなこんなであっという間に安定期を迎えました。
ありがたいことに母子ともに何の問題もなく妊娠期間は着々と過ぎてゆきました。このまま何も悩み事がなければいいなぁなんて思っていたのですが、そうはいきませんでした。
私の出産予定日は9月末。妊娠期間はお腹が大きくなるにつれて、季節的にだんだんと暑くなってきます。先に出産した友人が「妊娠中ってとにかく暑いんだよね。どの季節に生んだとしても何かしら暑い!お腹にいれば2人分暑いし、産んだら産んだで授乳とか抱っこで赤子と密着しすぎで暑いわ!」と言っていたのを思い出しました。でも私は冷え性だし、そんな悩みはきっとないだろうと思っていたのです。まるで他人事のように考えていました。
しかし、その季節はやってきました。私は北海道在住で、もちろん妊娠時も北海道にいました。それも北海道の中でも夏はあまり暑くならないことで知られている土地です。海沿いの土地なので、あまり熱がこもらずに夏でも25度まで気温が上がる日がほとんどないという地域に住んでいます。それがその年は違いました。2010年のことだったのですが、その年の夏は例年にないくらい暑い日が北海道では続いていたのです。
6月くらいからお腹が少しづつ大きくなり始め、冷え性の私でもちょっと動くと汗がじわっとにじむくらいになっていました。それが7月8月と月日が経つにつれて、お腹も徐々にもっと膨らみ始め、それに加えて猛暑の毎日。私は完全に暑がりの体質に
変化していました。みんなが「毎日暑いけど、今日はまぁまぁ涼しいよね。」なんて言っている中で、私だけがものすごく暑いと感じて一人で額から汗を流しているなんていうシチュエーションは当たり前でした。汗をかきすぎて、結んでいた髪の毛がシャワーを浴びた後のようにびっちょびちょになっていたこともありました。それもそのはず。8月の後半には妊娠10か月、すでに臨月近くなっておりましたので、お腹はパツパツ、私にとって暑い日は赤子を身ごもっている分普通の人の2倍暑く感じるわけです。それに例年にない猛暑日が続き、もはや暑さに慣れていない私は本当に限界を感じていました。
通常の北海道の夏ならば、日中はそこそこ暑くても夜には20度前後までグッと気温も下がって寝苦しいとは感じないのです。しかし、その年の夏は夜もまた気温が下がらないという特例の気候でした。そのため、夜も暑くて眠れないのです。寝ているだけでじんわりと汗が噴き出てくるので、気持ち悪いし暑いし、寝ていてもお腹は重いしの三重苦で毎日が寝不足でした。そのため、昼間に眠気が襲ってくるのですが、昼間は昼間で暑すぎて眠れないのです。
でも、このままじゃ寝不足過ぎて出産してからが大変だな、と思い、なんとか快適に眠れないかと色々試行錯誤しました。最近は北海道でもエアコンをつけている家庭が多くなってきましたが、当時賃貸暮らしだった私達夫婦の住まいには当然エアコンなんてついていない物件です。そこで家にあったサーキュレーターを頭の上あたりに置いて、心地よい風を感じる程度にかけておきます。それとタオルで包んだアイスノンを足元や首元にあてて、体調が悪くならない程度に体を冷やします。これだけでだいぶ快適に眠れるようになりました。
日中の汗対策にとデオドラントスプレー等を使っていたのですが、すぐに汗をたくさんかくため、これはあまり意味がありませんでした。そこで日中の暑さ対策として、暑すぎてびっちょり汗をかいてしまったらすぐにシャワーを浴びるようにしてみました。するとスーッと汗がひいて体もサラサラになり、その後は少しだけ昼寝をすることができました。
寒いのも辛いですが、この時初めて暑いのも本当に辛いんだなと身をもって経験しました。いくら脱いでも暑いものは暑いし、どこに行っても逃れられない暑さは本当にしんどかったです。