妊娠してしばらくすると足がつるようになってきた・・・これってなんなの??
足のふくらはぎが急に痙攣をおこしてつって症状になることをこむら返りといいます。
今回は妊娠中に起こりやすい『こむら返り』について理由や仕組み対処法や予防法をご紹介したいと思います。
特に妊娠後期になると夜寝ている最中にふくらはぎや太ももでこむら返りが起こりやすくなります。こむら返りが起こる頻度は妊娠中でも人それぞれですが、こむら返りになってしまうこと自体が痛いですし、できることなら予防法も含めて簡単に実践できる方法をおさえておきたいところですよね。
むくみとの関係や着圧ソックスでこむら返りが予防できたり、どんなミネラルを補うことでこむら返りの予防に効果的なのかといったことも含めて詳しく見て行きましょう。
妊娠中のこむら返りの理由と仕組み
こむら返りは妊娠中に限らず、激しい運動の最中や長時間にわたった『ふくらはぎの筋肉の緊張状態』が直接的なきっかけになることで起こります。ちなみにこむら返りという呼び方は主に関西以南の地域での名称で、関東以北では『脚が吊る(つる)』という言い方をするところが多いようです。
こむら返りは特に妊娠後期の妊婦がなりやすい症状と言われており、その理由は妊娠後期になるとお腹が大きくなることで下腹部から鼠蹊部(そけいぶ)などの内股への血管の流れが阻害されやすいくなることが大きな理由です。
また、妊娠中のこむら返りが起こりやすいもうひとつの要因として、妊娠後期からお産に向けてはリラキシンというホルモンの働きで骨盤の靭帯が柔らかくゆるみが出る仕組みになっていて、それがあるおかげでお産のときに骨盤が開いて産道(赤ちゃんの通り道)が確保できるのですが、骨盤のゆるみや開きを下半身の筋肉で抑え込むために太ももやふくらはぎの筋肉に負荷がかかっている状態が続いてしまっていることもあります。
そのため、妊娠後期のこむら返りに悩まされている方は血行を改善させることと骨盤の靭帯のゆるみや骨盤の開きを制御することがこむら返りの予防につながると考えられるんですよ。
こむら返りになった!治し方や対処法ってあるの?
妊娠中に限らずこむら返りはつらいものですが、なってしまった『いざというときの治し方や対処法』を知っておくことも大切です。
こむら返りになってしまった時の治し方(と言っても完全に痛みが治って楽なるというわけではないのですが)がいくつかありますので簡単にまとめてご紹介します。
- ゆっくりひざを曲げたり伸ばしたりする
- こむら返りを起こしている筋肉を温める
- こむら返りを起こしている側の足の親指を『すね側に曲げる』
こうすることで多少なりともこむら返りの痛みを和らげることができます。
ですが、完全に痛みがなくなるというわけでもないのと、寝ている最中に起こることが多いので、毎日のようにこむら返りを起こしてしまうという方はこむら返りになってしまう確率を下げる予防が大切になります。
こむら返りの予防法
こむら返りの予防には、筋肉の硬直(緊張状態)を少なくすることと血流が邪魔されていることで充分に行き渡らないミネラルを補ってあげることが大切です。
そのための方法は大きく分けて4つあります。
- ふくらはぎや太ももをマッサージや温めることで血行改善
- 運動不足の解消
- 食生活やサプリでミネラルを補給
- 着圧ソックスを利用してむくみを軽減する
こむら返りの原因のひとつに体内の養分が足先やつま先で留まってしまうことによる『むくみ』も関わりがあります。
ちゃんとミネラルが行き渡るということはむくみを解消できることと同じことなので、むくみを軽減すること自体がこむら返りの予防に役立つんです。
そのために使えるのが着圧ソックスなんです。
妊娠中のこむら返りと着圧ソックス
妊娠中のこむら返りの予防に着圧ソックスが役立つというのはご存じの方もいらっしゃるかも知れませんが、その仕組みはむくみの原因になる体内の水分が下半身の特に足首や足先などに滞ってしまうことが新しいミネラルが乗って運ばれて来る血流を阻害してしまうためです。
その予防のために着圧ソックスが使えるのですが、市販品の着圧ソックスで充分なので選び方について簡単にご紹介します。
- 締め付けが強すぎないものを選ぶ
- 長さは太ももの真ん中ほどまでのものを選ぶ
- 裏地が毛羽立たない素材のものを選ぶ
この中でも、締め付けがきつ過ぎないものを選ぶというのが大切なポイントですが、じゃあどれくらいが良いの?という疑問がわいてきますよね。おおよそではありますが、目安としては次のような数値の範囲から選ぶのが良いでしょう。
- 太もも=5~15hPa(ヘクトパスカル)
- ふくらはぎ=10~20hPa
- 足首やつま先=20~30hPa
市販品の着圧ソックスは、このくらいの締め付けの圧力に設定されているものがほとんどですので、この程度の範囲の中からいろいろなものを試してみて『ちょっとキツく感じるけど疲れやだるさが軽く感じる』というものを選ぶようにしましょう。
ただし、妊婦検診でむくみが心配と指摘されている方は、ちゃんと先生と相談して医療用に指定されている着圧ソックスの処方箋をもらうようにしましょう。
また。それまでに着圧ソックスを自分自身で購入している方は、そのこともちゃんと伝えた上で着圧ソックスの処方箋をもらいましょう。
こむら返り予防と妊娠中の栄養補給
妊娠中にこむら返りを起こしてしまいやすいのは『栄養補給に偏りや不足がある場合も多い』と言えます。
こむら返りの予防に大切なミネラルは次のようなものと言われており、特に妊娠後期に不足しがちな栄養と一致します。
- 鉄分
- カリウム
- マグネシウム
- ビタミンE
- ビタミンC
これらの栄養素・ミネラル(微量栄養素)をしっかり補給することがこむら返りの予防に役立ちます。
鉄分は、血液の中のヘモグロビン(赤血球)が酸素と各種ミネラルや栄養を結び付けて運ぶために必要な栄養素で妊婦さんが貧血になりやすく、貧血自体が転倒の危険だけではなく、お腹の赤ちゃんへの栄養供給不足につながることが『妊婦に一番大切な栄養は鉄分』とさえ言われる理由もあります。
鉄分がちゃんと補われていれば、妊娠中の自分自身の血流もちゃんと栄養が運べることになるのでこむら返り(筋肉の痙攣・硬直)の予防に効果的なんですね。
また、妊娠中は基本的にホルモンバランスが黄体ホルモン(プロゲステロン)優位になっています。プロゲステロンはむくみの原因になる『水分のたくわえ体質』に直結するため、むくみが起こりやすくむくんでしまうことで血管が圧迫されて血流を阻害してしまい、これもこむら返りの原因になります。
この状態を軽減するためにはカリウムの摂取が効果的です。基本的に日本人のわたし達の食生活は『塩分過多』と言われており、ナトリウムの摂りすぎが問題になっています。
塩分の摂りすぎはむくみの原因に直結している他にも『妊娠中高血圧症候群の原因にもなる』ということが分かっているため、高カリウム血症という病気にかかっていない限りは、カリウムを積極的に取ることが大切です。
また、マグネシウムもカルシウムと同様に共同作業で骨を作る働きの他に神経系統を正常に働かせる役にも立っているので、こちらも大切になります。
妊娠中のこむら返り予防にはこういった栄養補給が大切で、それがお腹の赤ちゃんのためにも役立つことなんですね。