妊娠初期に多くの妊婦さんが経験する「つわり」。吐き気や胃のムカムカ、食欲不振などで、「何も食べられない…」「赤ちゃんにちゃんと栄養がいってるか心配…」と、つらい思いをされている方もいらっしゃるかもしれませんね。今まで当たり前にできていた食事が、急に難しくなって、戸惑う気持ち、本当によく分かります。
つわりの時期は、無理にバランス良く食べようとしすぎなくて大丈夫です。この時期の赤ちゃんは、お母さんの体に蓄えられた栄養で成長しているので、数週間〜数ヶ月のママの食事量が減っても、基本的には心配いりません。
大切なのは、「食べられるものを、食べられる時に、少しずつでも摂る」こと、そして「水分補給をしっかり行うこと」です。
この記事では、**つらいつわりの時期でも「これなら食べやすいかも」と思える食事や飲み物のヒント**、そして**少しでも楽に過ごすための工夫**について、あなたのつらい気持ちに優しく寄り添いながら、分かりやすくお伝えします。
無理せず、食べられるものを見つけて、つわりの時期を乗り越えるためのガイドとして、ぜひ参考にしてくださいね。
- つわりで何も食べられない…赤ちゃんへの栄養は大丈夫?
- つらいつわりでも「食べやすい」を見つける食事のヒント
- つわりを少しでも楽に過ごすための工夫
- 【重要】つわりがひどい場合は、迷わず専門家へ相談を
- まとめ:無理せず、「食べやすいもの」を見つけて乗り越えよう
つわりで何も食べられない…赤ちゃんへの栄養は大丈夫?
つわりがひどい時期は、食欲がなかったり、食べると吐いてしまったりして、「赤ちゃんに必要な栄養が届いていないのでは…」と、心配になるかもしれませんね。
でも、大丈夫です。
- 妊娠初期の赤ちゃんは、まだ小さく、ママの体に蓄えられている栄養(特に、妊娠前から意識して摂っていた葉酸など)を使いながら成長することができます。
- つわりの時期(妊娠初期〜中期にかけて落ち着くことが多い)は、赤ちゃんの臓器が形成される大切な時期ですが、大量の栄養を必要とするのは、もう少し先(妊娠中期以降)です。
もちろん、本当にひどいつわりで水分も全く摂れない、体重が著しく減ってしまう、といった場合は医療的なケアが必要ですが、一般的なつわりの症状であれば、ママが思うように食べられなくても、赤ちゃんの成長に大きな影響はないことがほとんどです。
ですので、「ちゃんと食べなきゃ!」と自分を追い詰めすぎず、「食べられるものを、食べられる時に」という気持ちで乗り切ることが大切です。
つらいつわりでも「食べやすい」を見つける食事のヒント
つわりの症状は人それぞれ、日によっても波があります。「これが良い!」という万能薬はありませんが、多くの妊婦さんが「これなら食べやすかったよ」と感じている食事や飲み物のヒントをご紹介します。
ヒント | 具体的な方法・食品例 | なぜ食べやすいの? |
---|---|---|
少量ずつ、回数を分けて食べる | ・一度にたくさん食べず、おにぎり半分、クラッカー数枚など、ごく少量ずつ、数時間おきに食べる。 ・空腹になると吐き気が増す場合が多いので、**何かお腹に入れる**ことを意識する。 |
胃に負担をかけすぎず、空腹による吐き気を防ぐ助けになります。 |
シンプルで質素なものを選ぶ | ・味が濃すぎない、油っこくない、刺激が少ないものがおすすめです。 ・クラッカー、ビスケット、食パン(トースト)、質素なおにぎり(具なし、梅干しなど)、素うどん、質素なスープなど。 |
吐き気や胃のムカムカを誘発しにくいです。 |
冷たいものや常温のもの | ・温かいものよりも、冷たいものや常温のものが食べやすいと感じる人が多いです。 ・冷たいフルーツ(りんご、梨、柑橘類など)、ゼリー、ヨーグルト、アイスクリーム(少量)、冷たいお茶や水。 |
温かいものから出る湯気や匂いが吐き気を誘発することがあります。冷たいものは匂いが少なく、口の中がさっぱりします。 |
酸っぱいものやさっぱりしたもの | ・口の中をさっぱりさせてくれる、酸味のあるものが食べやすいと感じる人もいます。 ・柑橘類(みかん、レモン)、梅干し、酢の物(味付けの薄いもの)、炭酸水にレモンを加えたものなど。 |
吐き気やムカムカを和らげる効果があると言われることがあります。 |
匂いの少ないもの | ・炊きたてのご飯の湯気、料理中の匂い、特定の食品の匂いなどがつわりを悪化させることがあります。 ・匂いの少ないパンや、冷たい食事、調理済みのものを温めずに食べる、換気を十分に行うなどの工夫を。 |
匂いはつわりと密接に関係しています。 |
水分補給をしっかり | ・吐いてしまうと脱水になりやすいので、水分補給は非常に重要です。 ・水、麦茶、薄めたイオン飲料、生姜湯、炭酸水、氷をなめるなど、飲めるもので水分を摂りましょう。 ・冷たい飲み物の方が飲みやすい場合が多いです。(→妊娠中の水分補給の記事も参考に) |
脱水を防ぎ、体調の悪化を防ぎます。吐き気で食事が難しくても、水分だけは意識して摂りましょう。 |
生姜を試す | ・生姜は吐き気を和らげる効果があると言われています。 ・生姜湯、生姜入りの飴、すりおろし生姜を料理に少量使うなど。 |
昔からつわりの緩和に良いと言われています。 |
食べたいものを優先 | ・つわり中は、栄養バランスを考えるよりも、「今、これを食べたい!」と感じるものを優先して食べましょう。たとえそれが普段あまり食べないものでも、食べられるものがあることが大切です。 | 食べられるものがある、という安心感が大切です。つわりが落ち着いたら、またバランスの良い食事に戻せば大丈夫です。 |
これらのヒントを参考に、ご自身の「食べやすいもの」をぜひ見つけてみてくださいね。そして、食べられた時には、「よし!」と自分を褒めてあげましょう。
つわりを少しでも楽に過ごすための工夫
食事以外にも、つらいつわりを少しでも楽に過ごすための工夫があります。
- 空腹にならないようにする: 寝る前に軽食を摂る、枕元にクラッカーなどを置いて朝起きる前に食べるなど、空腹時間を作らないようにしましょう。
- 匂いを避ける: 苦手な匂いの場所(キッチン、特定の食品の近くなど)を避けたり、マスクをつけたり、アロマ( 安全なもの、医師に確認)を試したり。
- 休息をしっかり取る: 疲労や睡眠不足はつわりを悪化させることがあります。無理せず横になったり、昼寝をしたりと、休息を優先しましょう。
- 気分転換をする: 無理のない範囲で外の空気を吸ったり、好きな音楽を聴いたり、趣味の時間を持ったりと、気分転換を図ることも大切です。
- 周りに協力をお願いする: パートナーや家族に、食事の準備や家事を手伝ってもらうなど、遠慮せず助けを求めましょう。
【重要】つわりがひどい場合は、迷わず専門家へ相談を
つわりの症状は個人差が大きいですが、中には非常にひどくて、水分も全く摂れない、体重が著しく減ってしまうといった状態になる方もいらっしゃいます。これを「妊娠悪阻(にんしんおそ)」と呼び、医療的なケアが必要となります。
もし、以下のような場合は、自己判断せず、**必ずかかりつけの産婦人科医に相談してください。**
- 水分もほとんど摂れない、飲んでもすぐに吐いてしまう。
- 全く食事が摂れず、体重が妊娠前から5%以上減ってしまった。
- 尿の回数が極端に少ない、または全く出ない。(脱水のサイン)
- 立ちくらみがひどい、意識がもうろうとすることがある。
- つわりが辛すぎて、精神的に参ってしまった。
本当にひどいつわりの場合、点滴で水分や栄養を補給したり、吐き気を抑える薬を使ったりといった治療が必要になります。我慢せずに、専門家を頼ることが大切です。
まとめ:無理せず、「食べやすいもの」を見つけて乗り越えよう
妊娠中のつわりは本当につらい症状ですが、ママが思うように食べられなくても、妊娠初期の赤ちゃんはママの蓄えられた栄養で成長できることがほとんどです。無理に栄養バランスを気にしすぎず、「食べられるものを、食べられる時に、少しずつでも摂る」ことを優先しましょう。
シンプルで質素なもの、冷たいもの、さっぱりしたものなど、ご自身の「食べやすいもの」を見つける工夫をしてみてください。そして何より、水分補給は忘れずに行いましょう。
本当につらいつわりで水分も摂れない場合は、迷わず専門家(産婦人科医)に相談してください。専門家が、あなたの体と赤ちゃんの安全を第一にサポートしてくれます。
つわりの時期は、期間限定です。必ず終わりが来ます。無理せず、周りを頼りながら、「食べられるもの」を見つけて、この時期を乗り越えていきましょう。心から応援しています!
(参考: