妊娠中は、おなかの赤ちゃんがすくすく育つために、いつも以上に栄養バランスの取れた食事が大切です。特に「たんぱく質」は、赤ちゃんの体を作る大切な栄養素。今回は、妊娠中のたんぱく質摂取量と、効率的に摂取するための食事のヒントをご紹介します。
なぜ妊娠中にたんぱく質が大切なの?
- 赤ちゃんの体作りの材料: 臓器や筋肉、血液など、赤ちゃんの体のあらゆる部分がたんぱく質から作られます。
- 胎盤や羊水の形成: 胎盤や羊水の成分もたんぱく質が関わっています。
- ママの健康維持: 妊娠中の貧血予防や免疫力アップにもたんぱく質は欠かせません。
- 出産・授乳への備え: 出産やその後の授乳に向けて、ママの体を健やかに保つためにも重要です。
妊娠中のたんぱく質摂取量の目安
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、妊娠中のたんぱく質付加量は以下の通りです。
- 初期(〜13週): 通常時+0g
- 中期(14〜27週): 通常時+5g/日
- 後期(28週〜): 通常時+25g/日
一般的な成人のたんぱく質推奨量が1日あたり約50g〜60g程度とされているため、妊娠後期には1日あたり75g〜85g程度の摂取が推奨されることになります。これはあくまで目安であり、個人の活動量や体格によって必要な量は異なります。
たんぱく質を効率よく摂取する食事のヒント
たんぱく質は、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品など、様々な食品に含まれています。バランスよく取り入れることが大切です。
動物性たんぱく質
- 肉類: 鶏むね肉、ささみ、豚ヒレ肉など、脂質の少ない部位を選びましょう。調理法は蒸し料理や煮込み料理がおすすめです。
- 魚介類: マグロ、カツオ、サバ、イワシなどの青魚はDHA・EPAも豊富です。ただし、一部の魚には水銀が含まれるため、摂りすぎには注意が必要です。厚生労働省の情報を参考に、摂取量を守りましょう。
- 卵: 完全栄養食とも言われる卵は、手軽にたんぱく質が摂れる優秀な食材です。
- 乳製品: 牛乳、ヨーグルト、チーズなど。カルシウムも同時に摂取できます。
植物性たんぱく質
- 大豆製品: 豆腐、納豆、味噌、豆乳など。食物繊維も豊富で、便秘対策にもなります。
- 穀類・豆類: ご飯、パン、麺類にも少量ですがたんぱく質は含まれます。レンズ豆、ひよこ豆なども積極的に取り入れましょう。
Q&A:妊娠中のたんぱく質摂取について
- Q1:つわりで食欲がない時、どうしたらたんぱく質を摂れますか?
- A1:少量ずつでも食べやすいものを工夫しましょう。例えば、ヨーグルト、プリン、茶碗蒸し、冷奴、そうめんなど、喉ごしの良いものがおすすめです。無理せず、食べられる時に少しずつ摂るようにしてください。
- Q2:たんぱく質を摂りすぎると、何か影響はありますか?
- A2:通常の食事で過剰摂取になることは稀ですが、極端な高たんぱく質ダイエットなどは、腎臓に負担をかけたり、栄養バランスが偏ったりする可能性があります。バランスの取れた食事を心がけましょう。
- Q3:プロテインサプリメントを飲んでも大丈夫ですか?
- A3:基本的には食事から摂るのが望ましいですが、医師や管理栄養士に相談の上、必要に応じて妊娠中でも摂取可能なサプリメントを選ぶこともできます。ただし、あくまで補助食品であり、食事の代わりにはなりません。
- Q4:ベジタリアンですが、妊娠中にたんぱく質をしっかり摂るにはどうすればいいですか?
- A4:豆腐、納豆、豆乳などの大豆製品、レンズ豆やひよこ豆などの豆類、ナッツ類、全粒穀物などを積極的に取り入れましょう。様々な植物性食品を組み合わせることで、必要なアミノ酸を補給できます。心配な場合は、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
- Q5:魚の種類に注意が必要と聞きましたが、どの魚を避けるべきですか?
- A5:水銀濃度が高いとされるメカジキ、キンメダイ、クロマグロなどは、摂取量に注意が必要です。厚生労働省が具体的な摂取目安量を示していますので、参考にしてください。一方で、サバ、イワシ、アジ、サンマなどの一般的な魚は積極的に摂取して問題ありません。
まとめ
妊娠中のたんぱく質摂取は、赤ちゃんの健やかな成長とママの健康維持のためにとても大切です。バランスの取れた食事を心がけ、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品など、様々な食品からたんぱく質を摂るように意識してみてください。食べられるものを楽しく、無理なく取り入れることが一番です。もし不安なことがあれば、いつでもかかりつけの医師や助産師さんに相談してくださいね。頑張りすぎず、リラックスしてマタニティライフを楽しんでください。