「あれ、また喉が渇いたな…」。妊娠してから、やたらと喉の渇きを感じるようになった、というママは少なくありません。
つわりで水分が摂りにくかったり、妊娠後期には血液量が増えたり、発汗量が増えたりすることで、体は常に水分を欲しています。でも、冷たい飲み物ばかり飲むと、体が冷えてしまうし、糖分も気になりますよね。
そんな時に、ぜひ手に取ってほしいのが、秋の旬の果物「梨」です。みずみずしくてシャリシャリとした食感がたまらない梨は、実は単なるデザート以上の、妊娠中のママの心強い味方なんです。今回は、梨が喉の渇きにどう良いのか、その秘密と賢い活用法を詳しく解説していきます。

なぜ妊婦さんは喉が渇きやすいの?
喉の渇きは、体からのSOSサイン。妊娠中は、普段以上に水分補給が重要になります。主な原因は以下の通りです。
- つわりによる脱水: 吐き気で水分が摂れなかったり、嘔吐で水分を失ったりすることで、脱水状態になりやすいです。
- 血液量の増加: 妊娠後期にかけて、赤ちゃんへ栄養を送るために血液量が約1.5倍に増えます。このため、水分を多く必要とします。
- 発汗量の増加: ホルモンバランスの変化で体温が上がり、汗をかきやすくなるため、水分が失われがちです。
妊娠中になぜか喉が渇きやすく感じるのはしっかりとした理由があったんですね。水分補給の重要性がわかると思うのですが、夏は汗をかきやすいから意識して水分を補給しようとしますが、冬など意外と水分補給を忘れることも多いと思います。そのようなときは梨などの水分も大切な役割を果たすことに。。。
梨が妊婦さんの喉の渇きを潤す「飲む点滴」たる理由
梨の約90%は水分です。しかし、ただの水とは違い、栄養素が豊富に含まれているため、効率よく水分と栄養を同時に補給できます。まさに「飲む点滴」のような存在です。
理由1:水分とミネラルをバランス良く補給「カリウム」
梨には、体内の水分量を調整するミネラル「カリウム」が豊富に含まれています。カリウムは、体内の余分なナトリウム(塩分)を排出する働きがあり、むくみの予防や改善にも役立ちます。水分と一緒にカリウムを摂ることで、体に水分がしっかり留まり、喉の渇きを根本から和らげます。
喉の渇きとむくみが妊娠中にはどうしても気になってしまいます。それらが同時に改善されるとしたらめちゃくちゃありがたく感じます。
理由2:疲労回復をサポート「アスパラギン酸」
梨に多く含まれる「アスパラギン酸」は、疲労物質の代謝を助け、エネルギーを作り出す働きがあります。喉の渇きと同時に、なんだか体がだるい…と感じる妊婦さんも多いのではないでしょうか。アスパラギン酸は、そんな疲労感を和らげ、体をシャキッとさせてくれます。様々な種類の梨があるのですが、目安として140mg/100gのアスパラギン酸が含まれているのでぜひ秋の季節は梨を手に取ってみてはどうでしょう。
理由3:口内環境を整える「ソルビトール」
梨の甘味成分「ソルビトール」は、低カロリーで、むし歯の原因になりにくく、ブドウ糖の7割程度のカロリーしかないという特徴があります。妊娠中はホルモンの影響で唾液の性質が変わり、むし歯になりやすくなります。甘いお菓子を梨に置き換えることで、喉の渇きを潤しつつ、口内環境のケアにもつながります。
ブドウ糖の7割程度のカロリーがないため、ちょっとしたおやつにもぴったしだし、血糖値を上げにくいということも言えます。
梨をさらに美味しく!簡単アレンジレシピ
そのまま食べても美味しい梨ですが、少しの工夫で飽きずに楽しめます。つわりの時期でも食べやすいレシピもご紹介します。
レシピ1:冷凍梨シャーベット
喉ごしの良い冷たいものが食べたい。つわり中でも食べられるかな?
梨を一口大に切って冷凍するだけ。シャリシャリとした食感が、喉の渇きと吐き気を和らげてくれます。つわりの時期は、特に冷たいものが食べやすいと感じる方も多いので、試してみてください。凍ったまま食べても良いですし、少し溶かしてスムージーにしても◎。
レシピ2:梨と鶏むね肉のさっぱり和え
フルーツだけでなく、食事にも取り入れたい。でも、調理は簡単に済ませたい。
細かく裂いた鶏むね肉(市販のサラダチキンでもOK)と、千切りにした梨、きゅうりを混ぜ合わせます。ごま油、醤油、少量の酢で和えれば、さっぱりとして食べやすい一品に。梨の甘みがアクセントになり、食欲がない時でも美味しく食べられます。
レシピ3:梨のホットコンポート
冷えが気になるから、温かい食べ方はないかな?
一口大に切った梨を鍋に入れ、少量の水、お好みでシナモンを加えて弱火で煮ます。梨が柔らかくなったら完成。体を温めながら水分を補給できます。ヨーグルトに添えたり、温かい紅茶に入れて飲むのもおすすめです。
| 栄養素 | 効果 | 梨100gあたりの含有量(目安) |
|---|---|---|
| 水分 | 脱水予防、喉の潤い | 約90g |
| カリウム | むくみ予防、血圧調整 | 140mg |
| 食物繊維 | 便秘改善、腸内環境改善 | 0.9g |
| アスパラギン酸 | 疲労回復 | 140mg |
※文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より
妊娠中の梨に関するQ&A
Q1:梨の食べ過ぎはよくないですか?
A1: 梨は体を冷やす作用があるため、冷えが気になる方は食べ過ぎに注意が必要です。また、糖質も含まれているため、糖尿病などの方は医師に相談の上、適量を守りましょう。1日の目安は、だいたい1/2~1個程度がおすすめです。
Q2:梨の皮は食べても大丈夫ですか?
A2: 梨の皮には、実の部分よりもポリフェノールや食物繊維が豊富に含まれています。しかし、硬くて消化しにくい場合があるため、無理に食べる必要はありません。特に心配な場合は、皮をむいて食べる方が安心でしょう。
Q3:梨の代わりに他の果物でもいいですか?
A3: はい、大丈夫です。スイカやメロン、ぶどうなども水分やカリウムが豊富で、喉の渇き対策になります。ただし、果物によっては糖質が高いものもあるので、食べ過ぎには注意しましょう。バランス良く色々な果物を取り入れるのがおすすめです。
Q4:つわりで冷たいものが苦手な場合、どうすればいいですか?
A4: 冷たいものが苦手な場合は、先ほど紹介した「梨のホットコンポート」がおすすめです。温めることで、体を冷やさずに梨の栄養を摂ることができます。また、梨をすりおろして、温かいお茶に混ぜて飲む方法も試してみてください。
Q5:梨の保存方法は?
A5: 梨は乾燥に弱いため、一つずつ新聞紙やキッチンペーパーで包み、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。追熟しないので、買ったらなるべく早く食べるのがおすすめです。
まとめ 喉の渇きと、心に潤いを
喉が渇いても、つわりで飲み物が飲めない。冷たいものばかりで体を冷やしてしまう。そんな悩みを抱えながら、毎日頑張っているあなた。喉がカラカラな時の辛さ、よくわかります。そんな時、「もういいや」と諦めたくなる気持ちになりますよね。
でも、諦めないでください。あなたの頑張りを、秋の旬の果物である「梨」がそっと支えてくれます。シャリシャリとした食感と優しい甘みは、心にも体にも潤いを与えてくれます。たった一切れでも、そのみずみずしさが、あなたの心と体の渇きを満たしてくれるはずです。
次にスーパーに立ち寄った際は、ぜひ新鮮な梨を手に取ってみてください。皮をむいて、一口大に切る。それだけで、いつでも食べられるあなただけの「飲む点滴」の準備ができます。まずは一切れ、食べてみましょう。その美味しさが、きっと頑張るあなたを励まし、心に潤いを与えてくれるはずです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の疾患の診断や治療を推奨するものではありません。健康に関するご不安がある場合は、必ず医療機関にご相談ください。