妊娠中のダイエットは、お腹の中の赤ちゃんの健康な成長のためと妊婦さん自身の身体の安全のために行うものですが、あくまでも体重管理として行います。
妊娠中の安定期以降は、お腹の赤ちゃんが週齢ごとに元気に育って行くのが理想的で、そのためには、バランスの良い栄養補給が最優先になるからです。
基本的には、妊婦さんのBMI数値ごとに理想的な体重増加のペースが決まっているためその理想値よりも体重が増えすぎている場合にダイエットが必要になるということですね。
つまり、妊娠中のママの身体の安全が最優先なのですが、中には妊娠中でも『スリムでいたい』とか『どんどん太っていく自分が許せない』といった方も。
ですが、先ほどもご紹介した通り、妊娠中のダイエットはあくまでも体重を適正値に保つことが目的です。
そこでこのページでは、妊娠中に安全に行える体重管理のための減量、ダイエットについて一緒に見ながら考えて行きたいと思います。
目次
- 妊娠中にダイエットをしても大丈夫なの?
- 妊娠中に太りやすくて中々痩せない理由
- 妊娠中でも安全にできる減量方法
- まとめ
・妊娠中にダイエットをしても大丈夫なの?
妊娠中は、ダイエットをしてはいけません。というのが基本です。実際に質問サイトなどで妊娠中のダイエットの相談をしているトピックを見てみると、その答えとして、妊娠中のダイエットは、あまり良くないよ。
などといった回答も目立ちます。
基本的にはそれは間違っていないのですが、妊娠中は場合によって、減量が必要になって来る時があります。
ただそういった時じゃない場合に、不必要な減量をしてしまうと、どのような悪影響があるのかについて、まずはきちんと知る必要があります。
近年はダイエット思考の妊婦さんが急増し、妊娠中に不必要なダイエットや、無理なダイエット行ってしまう方が少なくありません。実際に10年前、20年前に比べると、その数は大きく膨らんでいるそうです。
気持ちはよく分かるのですが、妊娠中に不必要な減量を行ってしまうと、お腹の中の赤ちゃんに大きなリスクが及んでしまいます。
まず先程言ったように、未熟児として生まれるリスクが高まります。未熟児というのは様々な合併症のリスクが上がってしまうだけでなく、成長や発達が遅れてくる影響から、体の中の臓器等重要な部分が未熟なため、免疫力が低く、感染症にかかりやすくなってしまうという危険もあります。
それだけでも十分に大きな悪影響だと言えるのですが、それだけでなく、未熟児として生まれた赤ちゃんの多くは、将来生活習慣病にかかりやすいと言われています。
お腹の中の栄養素が少ない状態のまま、育って生まれた赤ちゃんが未熟児なのですが、その場合、少ない栄養素の中でも生きていけるように、遺伝子が変更されます。そのような遺伝子を持った赤ちゃんが、将来大人になった時に、豊富な栄養を毎日摂取することで、通常よりもメタボリックシンドロームなどの生活習慣病のリスクがかかってしまいます。
少ない栄養素の中でも生きていける遺伝子と言うのは、場合によってはとても凄い事ですが、現代では、そのような事はあまりないでしょう。むしろ外食が発達し、必要以上にカロリーをとってしまう場合の方が多いですね。
このように妊娠中に不必要なダイエットを行ってしまうと、赤ちゃんが非常に多くのリスクを背負うことになるので、お医者さんから指示が出るまでは、妊娠中の減量は控えてくださいね
・妊娠中に太りやすくなる理由
また妊娠中の時期は、体の変化の仕組みから、とても太りやすく、なかなか痩せて行かない体質になってしまっていることをご存知でしょうか?
というのも、妊娠中は、ダイエットをするためとは言っても、簡単に運動するのは少し難しくなってきます。
月日が経てば経つほど、お腹も大きくなり、仕事や家事も控えめになっていくでしょう。場合によっては自分の家からあまり動かないという方もいます。
そんな中、例えば寒い時期におうちにいる場合、多くの家庭が暖房によって部屋を暖めるかと思いますが、そうすることで人間の体は常に暖かい状態に慣れてしまいます。
そうすると本来持ち合わせている体温調節機能が徐々に働かなくなってしまいます。
通常であれば脳が筋肉に指令を送って、何もせずとも筋肉を動かし、カロリーを消費する仕組みになっているのですが、体温調節機能が鈍ってきてしまうと、そういったことが行われにくくなってしまうため、基礎代謝によるカロリー消費量が少なくなってしまうんです。
睡眠不足も大きく関係しています。妊娠中の方は、環境の変化や体の変化、出産の不安などによって、様々なストレスを受けてしまいます。これを上手にコントロールできないと、そのストレスがあなたの睡眠に悪い影響を与え、睡眠不足になってしまう妊婦さんもとても多いんです。
睡眠不足と太りやすくなってしまう理由には、なかなか関係性が掴みにくいですが、睡眠不足になると体の脂肪を燃焼するための基礎代謝と言う機能がどんどん低下してしまいます。
妊娠中はそもそも体を動かすことが困難になってくるため、基礎代謝量や、いちにちのカロリー消費量が低下してしまう事は、体重管理において非常にネガティブだと言えるでしょう。
・妊娠中でも安全にできる減量方法
ではこのページのメインである、妊娠中の方でも安全にできる減量方法をいくつか紹介していきます。
妊娠中のダイエットが必要になって、実際にどのようなダイエットを取り組んだらいいのかわからないと言う方は、これから紹介する方法をぜひ参考にしてみてください。
まずは、便秘気味な方は、便秘を解消することに集中しましょう。
なぜそうしたほうが良いのかと言うと、そもそも妊娠中と言うのは増加する女性ホルモンの影響を受けて、便秘になりやすい状態になっています。
なので便秘になること自体は仕方がないのですが、便秘と言うのは長く続いてしまうと、排出しなければならない老廃物などを排出できなくなり、その結果体の新陳代謝がどんどん悪くなっていきます。
それが減量に大きな悪影響与えているため、できるだけ早く解消しておきたいんです。
そのためには食物繊維を水溶性と不溶性の両方でバランス良く摂ることが大切になってきます。
厳密にいうと、毎日の食生活の中で『不溶性 2:1 水溶性』の割合で食物繊維を摂って行くのが良いでしょう。
不溶性食物繊維は、こんにゃくやゴボウ、豆類、キノコの石附(根っこの茎の部分です)などです。
一方の水溶性食物繊維は、海藻類やおイモ、果物類があります。
こちらの写真でご覧いただいている『ひじき』も海藻類のひとつで、
水溶性食物繊維も豊富で鉄分も含まれているので妊婦さんには良い栄養源になる食材と言えるでしょう。
ただし、写真のような佃煮は塩分がきつくなってしまう可能性もあるため
調理については塩分をできる限り抑えた方法で食べられるようにしたいところです。
妊娠中に塩分過剰になってしまうと、体重管理の失敗よりもはるかに怖い
妊娠中高血圧症候群の原因になりかねないからです。
食物繊維が便秘の解消に効果的なのは、妊娠中の方に対しても一緒です。
ではどんな食事をとれば良いのかと言うと、穀物、豆、妹、キノコ、海藻、野菜、果物。これらを積極的に食生活に取り入れてください。
次に水分をとること。便秘の原因の1つに、水分不足と言うものがあります。
水分をこまめに補給すると言う事は、先ほど紹介した食物繊維の力を効率よく発揮させるためにも必要なことなんです。
妊娠中に水分補給が大切になってくる理由は、ホルモンバランスの変化で便秘予防のために必要な腸内環境に対して使えるはずの水分が子宮内の赤ちゃんの羊水の量を維持するためや、ママの血液増加のため、赤ちゃんの栄養吸収を良くするために優先的に使われてしまうからです。
妊娠中の水分補給は、栄養バランス以上に大切な側面もあります。
むくみや便秘の予防、血液の質の低下のためにも鉄分と同時に必要だからです。
つまり、妊娠中の水分補給の重要性は便秘予防のためだけではないんですね。
次は軽い運動についてです。妊娠中は激しい運動はあまり好ましくないのですが、軽い運動はむしろ良いと言われています。
ではどんな方法が良いのかと言うと、カロリーを消費しやすいのが床磨きと言われていますが、ぞうきんで床を拭くような掃除は腰回りを冷やさないように注意して行居ましょう。
また、『ぞうきんレースみたいな走ってぞうきんがけ』するような転倒の危険があるような無理なエクササイズはやめておきましょう。
また大型ショッピングセンターで、上から下までウィンドウショッピングをしてみるなどして、自分の中で無理がないように長いこと歩けるように工夫するのもオススメです。
特に妊娠中のウォーキングは、毎日30分程度行うのが理想的で、妊娠後期に入った方は、1日に1時間程度歩くことで、お産の陣痛を安定させたり、体力強化によって陣痛が分娩を始める5分間隔以下までの『いきみ逃がし』などでも有利になるからです。
また、お産がスムーズになればママ自身の体力はもちろんですが赤ちゃんの体力の低下も心配せずに済むようになります。お産はママにとっても闘いですが、赤ちゃんも一緒に戦っていることは忘れないようにしたいですね。
このように妊娠中の減量方法としては、食生活の改善と、毎日の適度な軽い運動がポイントになってきます。一気に全てを始めるのは大変だと思いますので、できることから少しずつ取り入れて実行してみてください。
・まとめ|妊娠中の安全な体重管理について
まず最初に、妊娠中のダイエットは、本当に必要な場合のみ行うようにしてください。
ここでまとめたように、妊娠中は体の変化や、環境の変化により、太りやすくてなかなか痩せない状況になってしまっているため、食生活の改善をして、カロリーの低い食事をとって、カロリーを抑えながら、日常的な運動を取り入れて、消費するカロリーの割合を上げていくというのが妊娠中の減量のコツです。
また先ほども少し書きましたが、妊娠中の激しい運動や、無理な食事制限等によるダイエットは、簡単に痩せる方法ではありますが、リスクが高すぎるので、絶対にやめてくださいね。