妊娠中にダイエットをするというと誰もがお腹の中の子供のためにやめたほうがいいという声が上がります。
しかし、妊娠中にダイエットを行うことが必要なケースもあるんです。
その中でもどうしても避けられないのが妊娠高血圧症候群のリスクについてです。実際には知ってはいるけれど、他人事とか関係ないと思っている妊婦さんも多いのです。
妊娠中は、体の変化とともに、これまで以上に健康管理に気を配る時期ですね。中でも「妊娠高血圧症候群」という言葉を聞いたことがあるけれど、自分には関係ないのでは?と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、妊娠高血圧症候群は、どんな妊婦さんにも起こりうる知っておかなければならない重要なリスクです。
この記事では妊娠高血圧症候群について正しく知り、ママと赤ちゃんのために最も重要な予防策の一つである「妊娠中の適切な体重管理」について詳しく解説します。(ここで言う体重管理は、医学的な理由から推奨される適切な体重増加の範囲を保つことであり、極端な食事制限による減量目的のダイエットとは異なります。)
妊娠高血圧症候群は他人事ではない!妊娠中ダイエットの必要性
このサイトでも一番多いお問い合わせが、妊娠中の体重のコントロールについての質問です。
妊娠前から太り気味の方は妊娠中にダイエットをする必要があり、また太っていなくても妊娠中に急激な体重増加を防ぐために体重のコントロールをするという意味でのダイエットです。
妊娠高血圧症候群になるとどうなるの?
妊娠高血圧症候群になってしまうと、お母さんの体の血管の方に負担がかかってしまい脳出血や内臓の機能障害など引き起こしたり、おなかの中の胎児の発育が悪くなったり色々な問題を引き起こしてしまう可能性が高まってしまいます。
最悪の場合は、母子ともに命に関わるようなことも考えられ妊娠中にお医者さんに注意するように言われることはこのような要因があるためなんです。
しかし一方で完全な原因の解明や対策が確立されていないため、妊婦さん側もふんわりとそのリスクを感じているという方が多いんですね。
具体的に妊娠高血圧症候群の状態をママ側と赤ちゃん側に分けてみていきます。
「妊娠高血圧症候群」とは?なぜ予防が大切なの?
妊娠高血圧症候群(Pregnancy-induced Hypertension: PIH)とは、妊娠中に高血圧を発症したり、高血圧に蛋白尿や特定の臓器障害を伴ったりする病気です。
- 痙攣発作
- 脳出血
- HELLP症候群
- 常位胎盤早期剥離
といったことがリスクとしてあげることができます。
けいれん発作は、血圧が急上昇することによって脳の中がむくみの状態になり、血管が異常な緊張状態になり痙攣が起こります。
脳出血は、膿の中で血管がストレスや負荷を受けることで出血する状態です。
HELLP症候群というのは、赤血球が破壊されたりして肝機能に障害が出たり、血小板が減少する状態で、この状態が悪化すると血液が凝固するようになって全身のいたるところの臓器がダメージを負うことになります。
常位胎盤早期剥離というのは、分娩前に胎盤が剥がれてしまうことを言います。胎盤の中で内出血が起こるため、胎児もママもショックを引き起こすケースもあるんだとか。
妊娠高血圧症候群の胎児への影響
- 胎児発育不全
- 低出生体重児
胎児発育不全は、胎児への栄養や酸素が胎盤から血液を通じて届けられないことで、胎児が低酸素、低栄養状態になり胎児の体重が時期に関わらず適切な成長を行えない状態。体重だけではなく脳や神経にまで影響があるケースがあるため注意が必要。
低出生体重児は、2500グラム以下で生まれた赤ちゃんを言います。体が小さいだけではなく、各機能も未熟なケースもあります。
妊娠高血圧症候群というのはお医者さんから、妊娠する前は血圧が 高くなくても妊娠20週目辺りから産後12週目辺りにかけて高血圧になった場合または高血圧はであり蛋白尿も一緒に発症してしまう場合などに妊娠高血圧症候群と診断されるようです。
先ほども言ったように原因は完全には究明されていないものの、胎盤に血液を届けるための子宮らせん動脈の血管にストレスがかかることで 高血圧になってしまうという説が現在では一番有力視されています。
一旦発症してしまうと出産するまでという短い期間で改善するのは難しく、血圧を上げないことが大事と言われています。
妊娠高血圧症候群の割合
妊婦検診なので血圧測定するのは 妊娠高血圧症候群の可能性をお医者さんが診断するためなのですが、この妊娠高血圧症候群というのはどのくらいの割合で起きているものなんでしょうか。
実は 妊婦さんの220人に一人という高い割合で起きていることなんです。
中には自分は血圧が低い方だから大丈夫だろうと安心する方や、血圧に関して今まで何も問題がなかったという方もおられると思います。
しかし妊娠高血圧症候群というのは 完全に原因が究明されているものではなく、どんな妊婦さんにも起こる可能性があります。自分としてははっきりとした自覚症状がないような場合も妊娠高血圧症候群になっている場合もあるんです。
そのため普段から血圧の上昇や体調の変化に注意するということはとても大事なことなんですね。
妊娠高血圧症候群のになりやすい人はどういう人?
では妊娠高血圧症候群になりやすい人という傾向はあるのでしょうか。
実は妊娠高血圧症候群の原因と言われている子宮らせん動脈の問題以外にも、例えば40歳以上のママさんの血管の変化で発症するというようなこともあるそうです。
妊娠というのはママさんの体への負担が様々な方向からかかってくる現象なので、多胎妊娠だからといって安心するのではなく単胎でも妊娠後期の時期に発症しやすくなるとも言われています。
一般的に女性の年齢が35歳を超えてくると高血圧になりやすい傾向があるため、35歳以上から妊娠高血圧症候群の可能性も上がっていきます。その中で40を超えての初産の場合リスクが高くなる傾向があるそうです。
また体重に関係ある項目としてBMI の数値が25以上の方は注意が必要なんだそうです。
親族や身内に 高血圧の方がおられるといない人に比べると 約2から5倍近く発症リスクが高くなると言われています。
今まで妊娠高血圧症候群を発症したことがある方は次の妊娠などでも発症する可能性は高8くなるとも言われています。
腎臓病や糖尿病といった 血管に関係する持病がある方も妊娠高血圧症候群のリスクが上がると言われています
妊娠高血圧症候群になりやすい人のチェックリスト
- 40歳以上での初産
- 肥満(妊娠前のBMIが25以上)
- 妊娠初期での拡張期血圧が80mmHg以上の方
- 血縁関係で高血圧や妊娠高血圧症候群の方がいる
- 前回の妊娠時に妊娠高血圧症候群になった方
- 腎臓病や糖尿病などの持病がある
- 多胎妊娠
このチェックリストに数多く当てはまったからと言って必ず妊娠高血圧症候群になるといったものではありません。 その傾向が高くなるということなので、事前に知ることで対処ができやすくなると思います。
お医者さんに妊娠高血圧症候群になるとどんな治療をされるの?
妊娠高血圧症候群になってしまった場合、産婦人科や病院での治療はどのようなものなのでしょうか。
実際には根本的な治療方法は確立されておらず、血圧をコントロールして重症化を防ぐ治療というのが中心になってきます。
軽度な症状の場合は塩分を控えた食事と無理をしない生活スタイルが基本となる指導をされます。その中で体重増加が目立つ場合は食事のカロリー制限などもアドバイスされていきます。
重症になってしまった場合は入院をして治療を受けることになり、入院してる間、胎児に影響のない範囲の降圧剤や血液をサラサラにするような薬を使っての治療と食事管理 血圧のコントロール というのが治療の中心になります。
妊娠高血圧症候群にならないためにできること
でも妊娠高血圧症候群にならないためにできることはどういったものがあるのでしょうか。
まずは自分がどのくらい妊娠高血圧症候群になるリスクがあるのかというのを把握して日々の生活の中でリスクを高める要因になるようなものを避けたり食事面や運動習慣などの予防のためにできること行って、安全な出産を迎えるために注意したいところです。
- 塩分の過剰摂取に注意
- 適度な運動を心がける
- ストレスをためないように意識する
- 食生活でビタミン類を意識して摂るようにする
- 血圧を測る習慣をつける
- 妊婦検診をきちんと受ける
- 体重増加に注意する
この7つの項目が妊娠高血圧症候群にならないためにできることのポイントになります。
適切な体重増加の目安を知ろう
妊娠中の適切な体重増加量は、妊娠前の体格(BMI)によって異なります。
日々の食生活で気をつけること
健康的な食生活は、適切な体重管理と妊娠高血圧症候群の予防に繋がります。日常の範囲でできることを下にリストアップしてみます。
- 塩分を控える工夫(加工食品を減らす、外食やコンビニ食に注意、だしや香辛料で風味をプラス)
- バランスの良い食事(主食、主菜、副菜を揃える)
- ビタミン、ミネラル、食物繊維を豊富に含む食品(野菜、果物、海藻、きのこなど)を意識的に摂る
- 早食いを避けて、ゆっくりよく噛んで食べる
- 不必要な間食や甘い飲み物を控える
不安な方は管理栄養士にアドバイスをもらうのもいいですよ。
体調を考えてできる範囲での適度な運動
医師の許可を得て、妊娠時期に合わせた適度な運動を取り入れることは、体重管理だけでなく血行促進やストレス解消にも繋がります。
- ウォーキング
- マタニティヨガ
- マタニティスイミングなど
体重のコントロールという意味でのダイエットならば、妊婦さんに適しているといわれているのが、このあたりですね。
その他の予防策
ストレスをためないというのは、睡眠不足や日常のストレス管理。どの部分にストレスを最も感じるのかというのは個人差が大きく、一方で妊娠中だからそのストレスを放置しないことが大事になります。
検診や自分の血圧を測るといった自己管理は、妊娠高血圧症候群の予防にもつながります。
参考記事
- ストレスを溜め込まず、自分なりの解消法を見つける
- 毎日血圧を測定し、体の変化を把握する
- 妊婦健診をきちんと受け、医師や助産師の指導に従う
- 十分な休息と睡眠をとる
【重要】こんな時は要注意!すぐに医療機関へ相談を
妊娠高血圧症候群の可能性や重症化を示すサインを見逃さないことが非常に重要です。以下のいずれかの症状が見られた場合は、「これはストレスかな?」「疲れかな?」と自己判断せず、すぐに医療機関(かかりつけの産婦人科など)に連絡または受診してください。
- 深刻な頭痛(特に、今まで経験したことのないようなものや、安静にしても治まらないもの)
- 目がチカチカする、霞む、光が見えるなどの視覚異常(
- 右上腹部(みぞおちや肋骨の下あたり)の痛み
- 顔や手足の深刻なむくみ(通常の妊娠中のむくみとは異なる急激なものなど)
- 血圧が高いと言われた、または自分で測って高い数値が出た
- 尿蛋白が出ていると言われた
- けいれん
- 意識がもうろうとする
チェックリストの項目でもいいましたが、早期発見がとても重要です。少しでも不安を感じた場合は担当医に相談するようにしてください。
妊娠高血圧症候群と体重管理に関するQ&A
- Q1:妊娠前のBMIが標準体重ですが、妊娠中に体重が増えすぎると妊娠高血圧症候群のリスクは上がりますか?
- A1:はい、妊娠前の体格に関わらず、妊娠中に急激な体重増加があったり、適切な体重増加の目安を大幅に超えてしまうと、妊娠高血圧症候群のリスクは上がると言われています。妊娠中の体重増加を許容されている範囲に収めることが大切です。
- Q2:「妊娠高血圧症候群になりやすい人のチェックリスト」に当てはまりました。必ずなりますか?
- A2:チェックリストは、あくまでリスクが高い「傾向」がある方を示すものであり、当てはまったからといって必ずしも妊娠高血圧症候群になるわけではありません。過度に心配しすぎず、リスクがあることを認識し、適切な体重管理や生活習慣の改善といった予防策に積極的に取り組むことが最も重要です。不安な場合は、妊婦健診で医師に相談しましょう。
- Q3:妊娠高血圧症候群の予防のために、塩分は全く摂らない方が良いですか?
- A3:塩分を過剰に摂取することは血圧上昇に繋がる可能性があるため、控えめにすることは予防のために大切です。しかし、全く摂らないという極端な制限は、かえって体のバランスを崩す可能性があります。担当医からの医学的な指導がない限り、完全にゼロにする必要はありません。加工食品や外食などを減らし、家庭での調理では塩分を控えめにする、といった工夫を心がけましょう。塩分は生きていくために絶対的に必要なものです。だからこそ、精製された塩ではなく、海水から作られた自然の塩を使うようにしたほうがいいですよ。
- Q4:一度妊娠高血圧症候群と診断されました。もう治りませんか?
- A4:妊娠高血圧症候群は、原則として出産によって改善する病気です。しかし深刻な場合は産後も治療が必要となることがあります。また、一度妊娠高血圧症候群になった方は、その後の妊娠でも再発するリスクが高いと言われています。 産婦人科などの担当医の指導に従い、適切な治療を受け、産後も健康管理に気を配ることが大切です。
- Q5:ストレスは妊娠高血圧症候群に影響しますか?
- A5:ストレス自体が直接的に妊娠高血圧症候群の決定的な原因となるという明確な医学的根拠は確立されていませんが、日々少しづつでも蓄積するストレスは血圧を上昇させる要因の一つとなり得ます。また、ストレスが溜まることで、食事や睡眠といった生活習慣が乱れ、それが間接的に妊娠高血圧症候群のリスクを高める可能性も考えられます。ストレスを完全になくすことは難しくても、ご自身に合った方法でストレスを適正なレベルに保つことは、心身の健康のために大切です。
- Q6:妊娠高血圧症候群の予防に効果的な運動はありますか?産んでもいい?
- A6:医師の許可を得て行う適度な運動は、体重管理に役立つだけでなく血行を促進し、ストレス解消にも繋がるため妊娠高血圧症候群の予防に有効と考えられています。特定の「この運動が良い」というものよりも、ウォーキング、マタニティヨガ、マタニティスイミングなど、ご自身の体調や妊娠時期に合った、体に無理のない有酸素運動を継続することが大切です。運動を始める前には、必ず医師に相談し、安全な範囲で行いましょう。
- Q7:妊娠高血圧症候群と診断されたら、必ず入院が必要ですか?
- A7:妊娠高血圧症候群と診断された場合でも、必ずしも入院が必要なわけではありません。症状の程度(血圧の高さ、蛋白尿の有無や量、臓器障害の有無など)によって、医師が判断します。軽症の場合は、塩分制限や安静といった自宅での療養となることが多いですが、血圧が高い、蛋白尿が増えた、そのような気になる症状が出たといった場合は、医療的な管理や治療が必要となるため入院となります。医師の指示に必ず従ってください。
- Q8:妊娠中に体重があまり増えていませんが、妊娠高血圧症候群になることはありますか?
- A8:はい、妊娠前の体格や妊娠中の体重増加に関わらず、妊娠高血圧症候群になる可能性は誰にでもあります。肥満や過剰な体重増加はリスクを高める要因ですが、それだけが原因ではありません。定期的な妊婦健診で血圧や尿蛋白をチェックすることが、早期発見のために最も重要です。
- Q9:妊娠高血圧症候群になると、出産は帝王切開になりますか?
- A9:妊娠高血圧症候群と診断されたからといって、必ず帝王切開になるわけではありません。分娩方法については、妊娠週数、病気の重症度、赤ちゃんの状態などを考慮して、医師が最も安全な方法を判断します。陣痛を待って経膣分娩を目指すこともあれば、陣痛促進剤を使ったり、速やかに帝王切開を選択したりすることもあります。医師とよく話し合い、納得した上で分娩方法を決めましょう。
- Q10:一人目の妊娠で妊娠高血圧症候群になりました。二人目の妊娠でもなりますか?
- A10:一度妊娠高血圧症候群になった方は、その後の妊娠でも再発するリスクが一般的には高いと言われています。ただし、必ずしも再発するわけではありません。次の妊娠を考え始めたら、担当医にこれまでの経過をしっかり伝え、予防のためにできること(適切な体重管理など)について相談し、計画的に妊娠を進めることが大切です。
まとめ
妊娠中はお腹の中の胎児も成長するため体重は増加するものです。
しかし 適切な体重増加ではなく急激な体重増加になる人には妊娠高血圧症候群のリスクはぐっと上がってしまいます。
同時に 妊娠高血圧症候群というのは先ほど妊娠20週目から産後12週目にかけて高血圧になった場合とか尿蛋白を同時に併発する場合に診断されると説明しましたが、つまり産後12週目までは気を抜けない部分でもあります。
そのために妊娠中のダイエットや産後のダイエットは適切に行うことはとても重要なことなんです。
中には妊娠という一大イベントが終わって 安堵感からドカ食いして急激に体重増加するという方も少ないながらも実際におられるんですね。
そのため妊娠中のダイエットや産後ダイエットには多くの女性が注目をしています。しかしその妊娠中ダイエットを行うための目的の一つである妊娠高血圧症候群の予防という所にもしっかり目を向けて、健康的な出産そして健やかな産後の生活を送って行ってもらいたいものです。